見出しは30年前、 公務員の僕がアルバイトでコピーライターをしていた頃、 広告紙面に書いた一節だ。 列島改造論で沸き返った後、 誰もが自然破壊の進んだことに気付きかけていた。その自然破壊をテーマに《手重し》という語を使っ…
「…13、4なる少女が34人うち連れてかの蓮華草を摘んでいた」 図書館で100年前(明治29年)の新聞を繰っていて、 ある随筆の一節が目にとまった。 「雪のような細い手が紅い花の上をさまよっているところなど実にどうも可愛…
「弧を描きながらビルに突っ込んでいく飛行機の姿は美しかった…」 9・11のあの光景をテレビで見た美術家たちの感慨である。 「乗客たちがいるのに、 なんで!」 僕が反論すると彼らはちょっと怯んだけど、 自分に正直なようだっ…
「あっ、 カルガモの親子!」 桂書房の前の道をゾロゾロ、 七羽のヒナを連れて隣家の庭へ。 そして塀の下の排水路へと落ちた。 彼らの池からは五百メートル、 しかも込み入った住宅地の中。 自力で帰れると思えないし、 辺りは野…
「感化院の出身なの?」 友人に真面目な顔で問われた。 年賀状に《私もとうとう執筆側に回ってしまいました。 『感化院の記憶』 という本を出します》と書いたからだ。《いや! 違うよ》一瞬、 その率直さに吹き出しそうになったが…