『とやま元祖しらべ』 は明治・大正期の3つの新聞連載を集めたものだが、 《侠客》が出てくる。 自転車やパン屋のような事物の起源を尋ねる連載に、 侠客がなぜ取り上げられるのか。 明治44年 (1911) 高岡新報が取材した…
母と祖母は、 小学生の私の前でよく喧嘩をした。 どちらも夫を亡くし暮らしを二人で支えていたから、 出費をめぐる争いが多い。 二人は実は姉妹。 母は子持たずの姉に請われて養女に入った。 夫の自殺後、 30前で土方稼ぎに出て…
新刊の結語近くで記される文言である。 五箇山の最深部、 桂という小さな村の分校に赴任した教師が、 ダム建設による1970年の離村まで村人たちと交流し、 村の最期を看取った手記 『さよなら、 桂』。 雪で壊れないよう地蔵様…
イラクで人質になり後に解放された3人の内の一人、 写真家・郡山総一郎さんが富山で講演された。 彼が言いよどんだところがある。 イラク人の死者の写真をスライドで映した時である。 カメラを死者に向けた時、 遺族から《お前はそ…
「俵も、 私らで編むがです」 私はテレビ画面に釘付けになった。 私の村の公民館からの生中継だった。 同級生が《盤持ち》に使う米俵を編んで見せていた。 11月22日、 新嘗祭の前夜に行なう江戸期からの村の行事。 15歳にな…