富山の出版社 本づくりなら 桂書房

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No.7 やはり、 歌が要る!

●昨年の暮、 小社の編集校正を一手にひきうけていた渡引礼子さんが退職、 帰郷された。 故郷の勝田市 (茨城県) で一人暮らしの母堂に老齢もあって付き添いが必要になったからである。 薄給に耐えての5年間、 小社の創業期をよく荷っていただいた。 感謝の気持ちでいっぱいである。
代りに二人の若き女性に入社してもらった。 それぞれ専門をもつ人たちなので今後が楽しみ。 素敵な人たちから素敵な仕事が生まれるだろう。

 

●今年は千頁を越える本が3冊も控えているが、 初めの 『高岡銅器史』 に半年近く時間をとられて他の本が大幅に遅れてしまった。 『富山県女性史』 をやっと上梓し県内外で大きな評価をいただいたのがせめてもの慰め。 越中資料集成シリーズも多少遅れ気味、 第3回配本の 『富山藩士由緒書』 がシリーズ中最大のものとはいえ、 1200頁に達したためで、 定価も随分高くなり皆様には申し訳なく思います。
●この後、 暮れまでに10冊も刊行の予定。 主な本を紹介します。

 

①富山大学名誉教授で地学研究の深井三郎先生は郷土への愛のメッセージともいうべき随筆集 『壮なる山河』。
②富山藩きっての文化人内山逸峰の明和期の遺文集でこれが最後の 『続・内山逸峰集』。 3部作全部の総索引を付し、 品切の 『―紀行文集』 復刻。
③徴兵に関する膨大で貴重な文書を戦後に残された兵事係出分氏の証言で綴る 『村と戦争』。 同じ砺波市生の大阪大学教授黒田俊雄先生ら編集。
④大正年間に祖父母から聞き覚えた85話、 しかも未紹介のもの多数あり、 石黒羨子さんの 『富山の昔話』。
⑤瓜生俊教著 『富山県自動車交通史』 10年の歳月をかけられた大著だが、 病気入院された。 早く刊行すべし!
⑥十月には富山大学で日本古文書学会がある。 『勝興寺古文書集』 の復刻を検討中。 越中に関係深く絶版になっていた岡村守彦著 『飛騨史考―中世編』 の復刻は決定した。
⑦越中資料集成第四回は千頁余の 『応響雑記・上』。 加賀藩氷見湊の町年寄の文政から30年余に及ぶ日記で、 金沢・高岡・富山の町も詳細。

 

●今年に入って苦しきことのみ多かりき、 と思っていたら、 最近耳よりな話?小社出版の柏原兵三 (芥川賞作家) 『長い道』 を原作に映画化されるという。 篠田正浩監督、 山田太一脚本で題名 『少年時代』 というから凄い。 実現は来年か、 本当であって欲しいな。

 

●私達には、 やはり歌が要るようだ。
愛し合いながらも
たちきられているもの
ひとりで生きているもののために
いつまでも そんなにいつまでも
終らない歌が要るのだ   (1988年7月20日 勝山敏一)