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加賀藩救恤考 ―非人小屋の成立と限界

本書のテーマは、江戸時代の加賀藩において行われた救恤である。「救恤」とは、独立した生活が困難な困窮者に対する御上からの扶助を指し、特に飢饉や災害後に行われた例が多く残る。非人小屋は、その要であった。
17世紀に作られて以後、廃藩まで続いたこの施設を中心に、早期かつ大規模に実施された救恤により「政治は一加賀、二土佐」と称された加賀藩の救恤の様相を紹介する。

著 者:
丸本由美子
定 価:
¥3700(税込:¥3996)
発行日:
2016.06.01
ISBN:
978-4-86627-007-4
判 型:
A5判
頁 数:
265 頁
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目次

導入 救恤研究の意義をどこに見出すか?…1
序…15

第一部 非人小屋の成立―寛文・元禄飢饉における役割

序章 先行研究と史料…23

第一章 非人小屋の創設―寛文の飢饉~元禄飢饉前夜…27
一、寛文の飢饉…27
1)時代背景…27
1.藩主…27
2.寛文年間の主な出来事…32
3.小括…34
2)寛文の飢饉の発生とその対策―非人小屋の創設…36
3)特色ある制度―里子…41
二、延宝~元禄初期の状況―非人小屋の設置から元禄飢饉前夜まで…49

第二章 元禄の飢饉…52
一、被害状況と困窮の進行…53
二、具体的対応…60
1)農村部…60
2)都市部…66

終章 藩政初期の非人小屋…72

第二部 非人小屋と御救小屋―藩政中期~後期における救恤

序章 非人小屋での生活…77
一、主要な典拠とその成立年代…78
「非人小屋前より格ニ相立候品々帳」…78
「非人小屋裁許勤方帳」…81
「非人小屋御御救方御用方留帳」…82
「九拾歳者御扶持方/笠舞非人御小屋方/藏宿方/津出方」…84
「御算用場格帳」「御算用場ニ而相勤申候格品々」…85
「新川郡御小屋入御救人帳」…86
二、運営体制…88
1)予算…88
2)人員配置と施設…92
3)運営規則…97
4)勤務態様…110
三、入居者の生活…111
1)生活規則…112
2)小屋を離れるとき…116

第一章 天保飢饉下の加賀藩…119
一、先行研究と史料…121
二、天保飢饉概観…124
1)時代背景―天明~文政…124
2)天保飢饉の経過…136

第二章 天保飢饉への対策…143
一、藩による救恤…143
1)御救普請の実施(および実施の委託)…144
2)備荒貯蓄…146
3)非人小屋の増設・弾力的運用…150
4)代用食の支給・調理法の紹介・施粥…161
5)御救小屋の設置…162
二、藩以外の実施主体による支援…174
1)藩からの委託…175
2)自発的行動…176
3)間接的強制―民衆の要譜…181

終章 寛文・元禄飢饉対策との相違点…183

第三部 非人小屋の意義と限界

序章…189

第一章 非人小屋と御救小屋…190
一、両施設の区別…190
1)収容形式による区別…191
2)施設の存在形式による区別…197
二、収容者の呼称―「御救人」と「非人」…202
1)御救人加州清光加州清光…202
2)非人…204
1.藩政前期…204
2.藩政後期…211
三、藩政後期における非人小屋へのまなざし…214
四、小括…217

第二章 非人小屋の意義と限界…218
一、為政者が与えた救恤の意味…218
二、庶民が求めえた救恤とその変性…222

終章 第三部から析出される課題…228

跋 御救から社会政策へ…233

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