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地域統合の多様と複合

地域統合の多様と複合

 一六・一七世紀という時代の意義を、中世・近世の大転換とみるのか、近世・近代へと歩み始めた時代とみるか、一定の見通しをもって列島各地で地域研究を進めるべきではないかという認識で始まった北陸中世近世移行期研究会の七年間の研究成果である。
 一六・一七世紀の日本列島では、大名領ごとの地域国家形成と国郡単位の一揆による地域統合の動きが厳しく対峙したが、一方で在地・庶民のもとめもあって双方の融合や連携・協調の動きもおきた。それが織豊政権による天下統一、徳川幕府による近世国家確立を促す要因の一つともなった。北陸地域でこうした地域統合のうねりが、どのような矛盾・対立あるいは協調・連携のなかで生じ、「近世」的統合もしくは近世的支配に帰結したのか。一六・一七世紀に対象を絞り、地域統合の様相を「多様と複合」という視点から、一〇名の中世史・近世史の研究者が検討。

著 者:
北陸中世近世移行期研究会編
定 価:
¥3600(税込:¥3960)
発行日:
2021.12.20
ISBN:
978-4-86627-108-8
判 型:
A5
頁 数:
423 頁
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目次

序章 一六・一七世紀 北陸の地域研究の課題と展望
  一 本書の意図とねらい  木越隆三…1
  二 越前の研究動向と課題  佐藤 圭・角 明浩…5
  三 加賀の研究動向と課題  塩崎久代・大西泰正…24
  四 能登の研究状況と研究展望  川名 俊・木越隆三…35
  五 越中の研究動向と課題  萩原大輔・中村只吾…47

第一章 戦国期朝廷における朝儀実施の実態と特質  渡貫多聞…59
    ―正月三節会を例に―

第二章 越前における豊原寺の特殊性  角 明浩…88
    ―越前一向一揆での動向および近世の関係寺院から―

第三章 一六世紀後半における能登畠山氏の領国支配  川名 俊…139

第四章 加賀藩における真宗道場の近世化と地域社会  塩崎久代…175

第五章 中・近世移行期における大名家の重臣連署状  佐藤 圭…218
    ―越前国を中心に―

第六章 前田利家・利長の遺言状について  大西泰正…247

第七章 近世城下町富山の成立と前田家権力  萩原大輔…286

第八章 一七世紀の越中灘浦における漁業秩序の動態  中村只吾…319

第九章 越前の「領」にみる越前松平氏の領国支配構造  長谷川裕子…349

第十章 近世真宗の寺院形成と寺請寺檀制受容  木越隆三…373
    ―加賀藩前田領の寺檀関係と地域形成―

あとがき…419