富山の出版社 本づくりなら 桂書房

富山の小さな出版社「桂書房」。富山での自費出版、本づくりならお任せください。

加賀藩社会の医療と暮らし

藩主前田家の医療、医療政策、藩老の家臣と生活、町の暮しと医者、庭の利用と保養、安宅船の朝鮮漂流と動向、村の生活文化など、一次史料を駆使。政治史的視座の必要性を説き、医療文化の呼称を試みる。

著 者:
池田仁子
定 価:
¥3000(税込:¥3300)
発行日:
2019.12.25
ISBN:
978-4-86627-075-3
判 型:
A5判
頁 数:
344 頁
この書籍に関するお問い合わせ

お問い合わせ・ご意見・ご感想は専用フォームよりお送りください。

目次

序章 研究動向と本書の構成…3
  1 平成二七年以降最近年の加賀藩研究の動向…3
  2 近世の社会史・生活文化史の中の医療史研究…11
  3 近年の加賀藩医療史・生活文化史研究…12
  4 本書の視点と構成…14

第一章 初期藩主前田家の病と治療・医家…20
 はじめに…20
 第一節 利家の代の病気と治療…21
 第二節 江戸における芳春院の病と医療…24
 第三節 利長らの病と治療…27
  1 翻刻史料などにみる利長の病と治療…28
  2 「北徴遺文」所収聖安寺文書にみる利長の腫物と治療…34
  3 「村井文書」二巻、「神尾文書」「沢存」の翻刻と利長の病…42
  4 盛方院と利長の治療…49
 第四節 光高・清泰院の病と治療…54
 第五節 利常と天徳院の病と治療医…58
  1 既刊史料よりみる利常・天徳院の病と治療医家…58
  2 未刊史料「小松遺文」にみる利常の病…61
 おわりに…64

第二章 幕末期前田慶寧の退京・治療と政治史的動向…71
 はじめに…71
 第一節 退京・謹慎と帰国までの概要…72
  1 出京前後の動静…72
  2 出京延引の意見と退京進言及び慶寧の病気…74
  3 退京より近江までの動向と謹慎拝命及び慶寧の様態…77
  4 謹慎拝命後の金谷への帰殿…82
 第二節 「拝診日記」の概要と慶寧の治療担当の医者…83
 第三節 元治元年金谷御殿における慶寧の治療…91
  1 第一期…91
  2 第二期…95
  3 第三期…101
  4 第四期…105
 おわりに…108

第三章 藩主前田家の医療と医家…116
 はじめに…116
 第一節 未刊の新出史料にみる前田利長の病と医家…117
 第二節 未刊の「村井文書」にみる芳春院・利長・玉泉院の病と医家…122
 第三節 初期前田家の病と治療医家…139
 第四節 五代綱紀以降各時期の前田家の治療と医者…150
 おわりに…159

第四章 藩の医療政策・医学教育と社会史的意義…166
 はじめに…166
 第一節 非人小屋での領民の救済と医療・医者…167
 第二節 藩校明倫堂での医学・本草学の教育…169
 第三節 医者の種類と金沢の町場に住む医者…171
  1 加賀藩領内の医者の種類…171
  2 金沢の町場に住む医者…173
 第四節 町医者開業試験と手続…174
 第五節 郡方への医師派遣と医薬品の配給…178
  1 郡方への医師派遣…178
  2 医薬品の配給…181
 おわりに…182

第五章 藩老横山家の家臣と家族
  ――陪臣の分限帳と出生関係史料にみる――…189
 はじめに…189
 第一節 明治元年陪臣の「分限帳」…190
  1 元禄一五年との比較検討と家臣の役職…190
  2 与力の地位と役割…195
  3 奥女中と馬の記載…196
  4 横山家御家中医の検討…197
 第二節 出生関係史料にみる家族と家臣…199
  1 規式と略系図…199
  2 史料紹介…200
  3 各種出生関係規式…202
 おわりに…209

第六章 城下町の暮らしと医者…213
 はじめに…213
 第一節 医者と出産…215
 第二節 診療と投薬…216
  1 藩医の金沢城造営医療の概要…216
  2 金沢と小松における医療実務――瑞泉寺文書にみる医者と薬――…217
 第三節 町家の暮らしと医者 ――年中行事と履歴――…223
 第四節 「いろはガルタ」と医者…232
 おわりに…241

第七章 庭の利用と保養・領民…247
 はじめに…247
 第一節 江戸の行楽地と他藩の庭の利用…248
 第二節 加賀藩の事例…250
  1 大坂・江戸等における庭の利用…251
  2 金沢における庭の利用と行歩…255
  3 領民の庭…260
 おわりに…261

第八章 能美郡安宅船の朝鮮漂流と暮らし…266
 はじめに…266
 第一節 漂流・漂着一件の取調べと経緯…267
  1 帰還までの所要期間と事由…267
  2 対馬での取調べと手続き…271
  3 大坂からの帰還…272
 第二節 漂着から帰還までの給与品と生活…273
  1 朝鮮国江原道平海郡揮罹津での朝鮮側からの給与品…273
  2 牛岩浦での倭館からの給与品…274
  3 船中生活と病気…276
 第三節 与三次屋の生業と暮らし向き…277
  1 与三次屋と海運業…277
  2 暮らし向きと別家の繁栄…280
 おわりに…282

第九章 村々の生活文化と医療
  ――能美郡等諸史料の紹介と問題点――…285
 はじめに…285
 第一節 暮らしの諸相と出来事…287
  1 出来事と御餌指一件…287
  2 小松町の打ちこわしと近隣村民の連座…291
  3 猪・猿の徘徊と農民の難儀…293
  4 借銀一件…294
  5 病死人の処置…295
 第二節 人生模様…298
 第三節 文化と医療…305
  1 十村の顕彰と金子鶴村…305
  2 疫病と救済…306
  3 治療と医薬…307
  4 医学塾への遊学…311
 第四節 農民思想と村の信仰…312
  1 「農民鑑」と任誓一件…312
  2 宗門人別改…313
  3 講と御真影…318
  4 志納金と離檀…319
  5 神社信仰と奉納俳額…321
 おわりに…323

終章 本書の成果と今後の課題…328
  1 本書のまとめ…328
  2 医療文化史・生活文化史研究と課題…337

初出一覧…340

あとがき…342